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お嬢様♡レッスン

第114章 秘書のお仕事

「貴女は電話対応すら出来ていませんでしたけどね…」

「あっ!酷いです!!そりゃあ、お茶も満足に淹れられませんでしたし?」

「分かっていればいいんです」

「でも、私だってやれば出来るんです!」

「分かっていますよ。だからこうして教えているんじゃありませんか。さぁ、無駄口を叩いている暇はありませんよ?」

「は~い…」

「返事は短くっ!」

「はいっ!」

橘は口では『大変だ』と零すけれども、その実、嫌な素振りは見せる事はなかった。

仕事をきちんとこなせば、上司から褒められて嬉しい。

容姿を褒められる事は勿論、嬉しい事ではあるが、今の橘は仕事ぶりを評価される事に喜びを感じていた。

生き生きと仕事をする彼女に、周りの評価も上がって行った。

そして、須藤が言いたかった事の意味をやっと理解したのである。

ある日の事。

橘が給湯室で来客用のお茶を淹れている時だった。

「橘さん」

現在、副社長に付いている黒崎が給湯室へと現れた。

「あ、黒崎さん。お疲れ様です」

「これは、副社長のところへ?」

「ええ。お客様がお見えになったので…」

「それでしたら、コーヒーに変えて頂けますか?今、お見えの杉崎様は、緑茶よりもコーヒーの方がお好きなので…」

突然の変更にも、橘はにこやかに対応する。

彼女は直ぐにコーヒー豆を取り出すと、ミールで豆を挽き出した。

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