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お嬢様♡レッスン

第114章 秘書のお仕事

「橘さんも仕事を覚えられたようですし、そろそろ研修も終わりですね?」

副社長が帰った後、黒崎は葛城の役員室で彼の仕事を手伝いながら、尋ねた。

「そうですね。どうでしたか?こちらでの仕事は、貴方の役に立ったでしょうか?」

「はい。色々と勉強になりました。………そう言えば、そろそろ綾芽様が戻って来られる頃ですね?」

「ええ…」

「どうかしたんですか?」

作業の手を止め、黒崎は葛城を見つめる。

葛城は右肘をデスクに付き、指先を額に当てながら眉間に皺を寄せて目を閉じていた。

「不安なんです…。もし、綾芽様が戻らないと仰ったらと」

「まさか!綾芽ちゃ…、いえ、綾芽様がそんな事を仰る訳がないじゃないですか。だって、プロポーズを受けて下さったんでしょう?」

「ええ…一応は…。しかし、ムードも何もなかったですし…」

「一体…どこで?」

「車の中です。しかも…その……最中に…」

「え?ちょっ!え!?」

「はぁ…。プロポーズはもっとロマンティックにと考えていたのですが、どうしても綾芽様のお気持ちを確かめたくて…。早まってしまったんです」

葛城はそう言うと、再び大きな溜息を漏らした。

(最中に…って、エッチの最中って事かぁ!?ちょっ!葛城さん、どんだけ焦ってたんだ?)

状況からすれば無理もない。

綾芽は記憶を失っていたし、彼女の傍には、あの美形のCEOが居たのだ。

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