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お嬢様♡レッスン

第115章 別離の刻(わかれのとき)

ヘンリーはそっと車を降りると、空港内へ葛城を迎えに出る。

暫くは、我が主人の為に彼を足止めしなくてはと。

ヘンリーは日本から到着した便を確認すると、乗客が出て来る到着ロビーへと向かう。

ファーストクラスの客は優先の為、姿を現すのは早い。

彼は葛城の姿を認めると、彼に近付き迎えに来た事を告げた。

「出迎え有難うございます。ところで綾芽様は?」

「お車でお待ちでございます。あの…葛城様?」

「何でしょうか?」

「もう少しお時間を頂けませんか?今、綾芽様と我が主が最後の別れを…」

葛城のスーツケースを受け取りながら、ヘンリーは彼に願い出る。

「二人きりで?」

「はい。ですが、ご心配されるような事は…」

「分かりました。それでは、どこかで時間を潰しましょうか?」

「我が主の為に、ご配慮を頂き有難うございます」

ヘンリーはそう言うと、主に代わって深々と葛城に頭を下げた。

二人はロビーの椅子に腰を下ろし、話しながら時間を潰す事にする。

「早くお目に掛かりたいのは山々ですが、私とて綾芽様を愛する一人の男です。彼の気持ちは痛い程、分かっておりますから…」

葛城はそう言って、微笑むとヘンリーに礼を言った。

「私の婚約者が、色々とお世話になりました。貴方の事も彼女から聞いています」

「勿体ないお言葉です。短い間でしたが、綾芽様にお仕え出来て大変幸せでした」


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