NAHEMA
第2章 本章
「ここで、待ってる。」
囁くような声が俺の耳に届いて。
シェリーが出される前に席を立った彼女の、
甘い香水の香りとともに残されたのは。
この間と同じ小さなカードだった。
カードに記されていたのは、高級ホテルの高層階の部屋番号。
店の掃除を終え、私服に着替えてみると、
ジーパンに何度も洗濯されたヨレヨレのTシャツ。
俺みたいな学生が足を踏み入れるだけでも場違いであろうその高級ホテルに、
そんな格好で向かう気には到底なれなかったけれど。
早く行かなければ彼女が逃げてしまいそうで。
一分一秒でも早く彼女に会いたいという衝動は、抑えられなくて。
早く、会いたい。
それだけの思いで、俺は指定されたホテルへと走り出した。
足が沈む感覚さえ感じるほどの厚い絨毯が敷かれた廊下を歩く。
いつもコツコツと音を立てる彼女の靴でも、この絨毯の上ではまったく音を立てないのだろうか。
そんなどうでもよいことを考え、自分自身の緊張をほぐしてみる。
指定された部屋番号を確認し、
大きくひとつ深呼吸をしてから、重そうな扉を2回ノックした。
コン、コン…
無機質な音が、すべての音を吸収してしまいそうなほどの静寂の中、鳴り響く。
何の反応もない部屋の前で、
部屋番号を、いや、ホテルを間違えたのかと一気に不安が込み上げたとき。
カチャ…
静かに開いた扉の隙間から、
彼女の香水の香りがふわりと流れてきた。
囁くような声が俺の耳に届いて。
シェリーが出される前に席を立った彼女の、
甘い香水の香りとともに残されたのは。
この間と同じ小さなカードだった。
カードに記されていたのは、高級ホテルの高層階の部屋番号。
店の掃除を終え、私服に着替えてみると、
ジーパンに何度も洗濯されたヨレヨレのTシャツ。
俺みたいな学生が足を踏み入れるだけでも場違いであろうその高級ホテルに、
そんな格好で向かう気には到底なれなかったけれど。
早く行かなければ彼女が逃げてしまいそうで。
一分一秒でも早く彼女に会いたいという衝動は、抑えられなくて。
早く、会いたい。
それだけの思いで、俺は指定されたホテルへと走り出した。
足が沈む感覚さえ感じるほどの厚い絨毯が敷かれた廊下を歩く。
いつもコツコツと音を立てる彼女の靴でも、この絨毯の上ではまったく音を立てないのだろうか。
そんなどうでもよいことを考え、自分自身の緊張をほぐしてみる。
指定された部屋番号を確認し、
大きくひとつ深呼吸をしてから、重そうな扉を2回ノックした。
コン、コン…
無機質な音が、すべての音を吸収してしまいそうなほどの静寂の中、鳴り響く。
何の反応もない部屋の前で、
部屋番号を、いや、ホテルを間違えたのかと一気に不安が込み上げたとき。
カチャ…
静かに開いた扉の隙間から、
彼女の香水の香りがふわりと流れてきた。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える