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蝶の様に麗しく

第1章 0話

暫く煙管を吸っているとスタスタと女みたいな足音が聞こえた。

ーーー総司だ。

俺は煙管を吸うのを止め、寝たふりをする。

直ぐにスッ、と襖は開かれ クスクスと総司の笑い声がした。

「ふふっ、土方さんは寝てますね♪」

上機嫌で俺の大切な発句集、「豊玉発句集」を盗もうとする。

盗もうとするのに夢中な総司は 俺が起き上がり近付いて来るのに気付かない。

ニヤリと笑った俺はそっと総司に近づきーフワリと後ろから総司を抱きしめ耳元で囁いた。

「毎晩、ご苦労だな。総司」

「っ!?土方さん、起きて…ん!!」

俺は総司が話すのを遮るように唇を塞ぐ。

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