
君は少しも悪くない。たぶん
第4章 いま、の後
「ところで、お二人さんはなんで遅れたんですか?」
少々挑戦的に聞くニノ。
「えーと、昨日の夜、ZEROの後たまたま相葉くんと汐留で会ったんだよ」
と、言葉を切った翔くん。
そのあと、なんと言って良いか分からなくなったのか、ほんの数秒の沈黙が流れた。
たった、5秒間だった。
だがその長さが、その時の俺にはとても長く感じられた。
「ふーん。別に誰が何やってても良いですけど、」
ニノの、最大限に怒りを抑えた声。
「仕事に支障をきたすのだけはやめてもらえますか?…ねぇ、潤くん?」
「ん、そうだね。」
そこで、廊下からチーフが覗いた。
「櫻井さん、相葉さん、メイク押してるんで」
有無を言わさぬその口調に、黙って2人は出ていった。
2人の足音が遠ざかると、ニノは俺に飛び付いてきた。
「ごめん、潤くん」
呼び方が定まらないのは、不安定な証拠なのだろうか。
「頑張ったね」
俺は、ただ抱き寄せたニノを撫でることしか出来なかった。
