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誰かお願いつかまえて

第5章 夢か現実か



―――

(…びっくりしてたな)

俺はさっきからニヤニヤが止まらなくて困ってる。

柔らかくて吸いつくような唇。歯止めが利かなくなる気がしてすぐに離れたが…


あ、別にキスしようと思って振り返ったわけじゃないんだ!…言い訳がましいとは思うが。

明日の時間とか考えて振り返ったら首をかしげた幸村が可愛すぎて……


(昨日の夜と今朝、がんばった理性へのご褒美ってことにしよう……そう思おう!)





それにしてもひさしぶりのキスだった。自分の気持ちが分かってからは女と無縁だったし。



あの感覚や俺がまだ触れてない肌に何人の男が触れたことだろう…


(タイムスリップして幸村の最初の彼氏になりたい…)


ため息をついて、でも明日を楽しみにしながら俺は駅に向かった。














――岡崎優也、32歳。自分が彼女のファーストキスを奪ったなど思いもしていなかった…




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