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誰かお願いつかまえて

第5章 夢か現実か



『あ、未来おはよう…起こしてごめんね』

「ううん、ちょうど起きたところだったから」

なんていい子だ。ユズとは大違い。

「でも珍しいね!ユッキーが出かけるなんて!…なんかあった?」


ギクッ


「そういえばそうね…何があったか話してごらん?」

ユズの意地悪な笑顔が目に浮かぶ。って、勝手に電話かわんないでよ!…用あるのはユズに、だけど…


『いっ、今は、そんな余裕ない、から…』

「へぇー。この忙しい私に頼みごとがあるのにいいの?そんな態度で…」

うぅ…手強い…
でもユズに話したらいつまで語り継がれることか…


『………………………』

私の長い沈黙にため息が聞こえてきた。

「ま、いいや、今日のところは……ナミのことだし想像つくよ。
今週の土曜日、ライブやるからそのときに絶対話すこと!それが条件。
のめるなら次期編集長とも噂されるこの私の知恵をかしてやらんこともない!」

すごい上からな言い方だが、実際ユズはファッション雑誌編集社の有望株だ。

そして趣味でギターも弾けてたまにライブもやってる。


『…はい』


話したくはないけどユズの協力は不可欠だから仕方ない。


「よろしい!――で、相手が指定してきてることは?」




――ユズのアドバイスで私はちゃんと服が用意できて、お礼を言って電話を切った。







「ねぇ、なっちゃん?ユッキー相手がいるなんて言ってた?」

「ナミが出かけるのに服を迷うなんて男と一緒に出かける以外ないでしょ?」

「おぉ!さすが!」


――こんな会話がされてるとも知らずに…



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