誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
―そして今に至るわけだが、まだ岡崎さんは来ない。
(電車、遅れてるのかな…)
「幸村、おはよう」
駅の方を眺めていた私の後ろから声がした。
振り向くと、にっこり笑う岡崎さん。…この人はラフな格好も似合うのか…
それにしてもこの、おはようドッキリ、やめてもらえないだろうか。毎度心臓に悪い…
『お、おはようございます!…電車じゃないんですか?』
「今日は車で来たからな……行こうか」
私は岡崎さんの後ろからついていく。
(やっぱ背高いな…)
いつもそんなこと気にしてなかったのになんだか気になる。
私が後部座席のドアのところで止まると
「…助手席に決まってるだろ」
『えっ!あっ、はい!』
(車乗ってる間隣なの…?!)
普段なら隣とか気にする相手ではないのに、今日はムリ。緊張してるからムリなの!
車に乗り込むとブランケットを渡された。
「脚、寒そうだから渡しとくな」
『あっ、ありがとうございます!』
(確かにタイツだから寒いし、太い足見苦しいからなぁ……)
私はすぐに使わせてもらった。
「よし、じゃあ行くか!」
私にニコッと笑いかけてから車を発進させた。