誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
何気ない話をしていると、いくらか緊張もほぐれてきた。
(私、気にしすぎてたな………いつもの岡崎さんじゃん)
そしてしばらくすると車を駐車場に停めた。
『どこに行くんですか?』
「まず1つ目のところ行くからな」
(1つ目…?)
岡崎さんは私の方へ回ってくると優しく腕を引いて歩き出した。
(川端にはされたことあるけど、岡崎さんにこうやってされて歩いたことなかったな…)
私は岡崎さんの腕にくっついて歩いた。
日曜日だからか、街には人があふれてる。岡崎さんは路地に入ると止まった。
「ここに用があったんだ」
そういって一緒に入ったのは落ち着いた雰囲気が素敵な美容室。
『…え?』
「いらっしゃい、優也…………その子ね!」
カウンターから綺麗な女性が出てきて私の顔をのぞき込む。
(綺麗な人だな……私よりも背高くてかっこいい………
でもこの人、どっかで見たような気が……?)
「そうだが……澪玲(ミレイ)、取って食うなよ」
あまりにも凝視されて気まずいと思っていたら岡崎さんに引き寄せられた。
(わわっ!近い!…目の前に岡崎さんの胸板がっ!)