誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
「やーね、そんなことしないわよ!お名前は?」
『…幸村波香、です』
「波香さんね!よろしく!私、ここで美容師をやっている、岡崎澪玲(オカザキミレイ)です!」
(おおお、おかざき!?)
「…俺の従姉妹で兄貴の嫁さん」
苦々しい顔つきで岡崎さんが言った。
『え?…じゃ、岡崎さんのお義姉さん?』
(澪玲さん、岡崎さんに似てたのか…
ていうかすごいな、いとこ同士の結婚………)
「そーよ!義弟らしくしないけどね、優也」
「義理の姉弟の前に従姉妹だからな、当たり前だろ」
仲は良さそうだ。
(岡崎さんが弟やってる……)
お兄さんやお父さんのイメージだった岡崎さんが、澪玲さんに文句を言う小さな弟に見えて可愛く思えた。
「―で、どんな感じにしようか、波香ちゃん?」
澪玲さんに腕を引かれて心臓に悪い空間から逃げ出せた。
(…ちゃんづけされたけども……)
「短くしてやって」
「あんたには聞いてないわよ、ばか優也!
ほらほら、女の子のオシャレな空間におじさんは邪魔よ!行った行った」
シッシッ、と追い払おうとする澪玲さん。
「お、おじ!?俺はそんな年じゃない!」
「男なんて30越えたらおじさんよ」
冷たく言い返して私を奥に連れていこうとする澪玲さん。
『終わったら連絡しますから』
そう言って私は澪玲さんについて行った。