誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
「―じゃあしばらくこのままで……
今のうちに優也に連絡しとくわ」
『ありがとうございます』
私は波香ちゃんをおいて受付の方に戻る。
「あ、もしもし今どこ?もう少ししたら波香ちゃん終わるわよ」
「わかった!今すぐ行く」
「今すぐじゃなくていいわよ」
優也の必死さに笑ってしまう。
「…波香ちゃんいい子だけどアレね」
出入口の外に出てそう言うと優也が不機嫌になった。
「…なんだよ。澪玲に何がわかるんだよ」
「別に悪口じゃないわよ?
ただ、波香ちゃんはあんたのこと眼中にない、珍しいタイプってだけで」
「……何でそう言い切れるんだよ」
「あんた、分かってないなら重症よ?モテるからって調子に乗らないことね」
そう言って呼び止める優也の声を無視して通話を終了した。
…たぶん、あの子は愛されることを恐れてる。
愛することはするし愛されたいとも思っているようだけど、どこかで愛されることを拒否してる。
(人と深く関わるのが怖いのかしら……)
考えてみても私にはそれ以上わからなかった。