誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
『なんでそんなに分かるんですか?』
「逆になんでそんなに分かりやすいのかしら、波香ちゃんは」
また笑われてしまった……
大人の女性の余裕というか落ち着きが素敵…
「―はい!できあがり!」
『ありがとうございます!』
こんな自分、見たことなかったけど似合ってると思っていいかな……
澪玲さんによって変貌を遂げた私が受付の方に戻ると、既に岡崎さんがいた。
「じゃーん!可愛いでしょー?」
あれ、澪玲さんの声に反応しない……
「優也、波香ちゃん可愛すぎて声出ないの?」
「〜っ!
…似合ってるよ、幸村」
顔を背けてそう言ってくれた。
『ありがとうございます!』
澪玲さんに無理やり言わされた感があったけど、褒めてもらえたからいいや。
「じゃ、行こうか……澪玲、ありがとな」
「どういたしましてー!波香ちゃん、また来てね!はい、コレ」
そう言って名刺をくれた。
『ありがとうございます!あ、お会―』
「今回はいいわよ!私が波香ちゃんのこと気に入っちゃったから、サービス♡」
お会計と言う前にニッコリと遮られた。
『本当にありがとうございました!また来ますね』
「ええ!待ってるわ」
男性を悩殺するであろう笑顔で私たちは送り出された。