誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
そんなことを考えていると赤信号でブレーキを踏んだ岡崎さんが私の手にあるパンをかじった。
『あっ!』
伸びたチーズを拭いながら岡崎さんが意地悪な笑みを向ける。
「考え事してると俺が食うぞ?」
『た、食べますよ!……岡崎さん、お昼食べました?』
私はパンをもらって食べているけど、運転している岡崎さんは食べる余裕なかったんじゃ……?
(ていうか今まで気づかなかった私って…)
「あー、食べた食べた!幸村のパンを買った時にイートインで食べてきたんだ」
(そうだったんだ!よかったぁ…)
『ならいいですけど……
って、じゃあ私の食べないでくださいよ!』
「そんなこと言ってるとまた食うぞ?」
『!だめです!…食べ物の恨みは恐ろしいんですよ!?』
そう言って食べはじめるとなぜか満足げに頭をポンポンされた。
私、特に何もしてないんだけど………?