誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
『――ごちそうさまでした!美味しかったです』
いつの間にか高速道路にのっている私たち。一体どこに行くんだろうか。
「お前、すごい勢いで食べたな…」
前を向いたまま笑われてしまった。
『だって、美味しかったんで…
あと、ここ数日は岡崎さんがいろいろ意地悪なので本当に食べられるんじゃないかと思って』
「俺は意地悪か? 」
『そうですよ!笑い方も、優しい感じだったのにいたずらっぽくなってますし!』
ちょっとムッとしてしまった。だって、優しいお父さんとかお兄さんキャラだったはずなのに、昨日からちょっかいをかける男の子ようなのだ。
「…というか、今まで俺が優しいと思ってたのか?」
車を出口に向けながら驚いたように聞かれた。
『そうですよ!…まぁ仕事のときの厳しさは置いておいて。
それだってフォローはしっかりしてくれるし、私とか川端の話だってちゃんと聞いてくれるじゃないですか。
名前だって優也ですし』
高速を降りて信号で止まると岡崎さんがこっちに笑いかける。
『ほら、意地悪な笑い方してますよ?
なんですか、私のこと馬鹿にしてます?』
ムッとしてそう言うといつものように笑われた。
「いやいや、お前もまだまだだなーと思っただけだ。……怒るなって」
そう言って私の頬を引っ張る。