誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
――
レストランでの食事のあと時計を見るともう少しで閉園時間だった。
「幸村、もうすぐ閉園だけどどうする?」
『あー!ここほかの遊園地より閉園早めなんでしたっけ……
でも今絶叫乗るとさすがに気持ち悪くなりそうです』
そう言う幸村を見ていい考えを思いついた。
「じゃ、最後は俺が選んでいいか?」
『?どうぞ?』
「お化け屋敷、行こう」
『…………』
ほら、固まった。嫌いだろ、お化け屋敷。
幸村は全アトラクション制覇する勢いだったのに、ここの売りでもあるお化け屋敷には見向きもしなかった。というか、目を向けないようにしていた。
「ほら、時間なくなるぞ」
放心状態の幸村の手を引いて俺はアトラクションに向かう。
『……ほんとに行くんですか?』
なんで少し涙目なんだよ!そんな瞳で見上げてくるとか、可愛すぎるんだよ!
「あぁ、行くぞ!
…しかし、アレだなぁ。周りも暗くなってきたし本当になにか出るかもな」
『!……』
ビクッとしたのが手を通じて分かる。
怖いって大騒ぎするタイプと、目を閉じて掴まってくるタイプの2つのタイプに分けるなら、
間違いなく幸村は前者だと思っていたが、どうやら後者のようだ。
さっきはいじめすぎたかと罪悪感があったが、今はそんなものはどこへやら、もっといじめたくなってしまった。