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誰かお願いつかまえて

第5章 夢か現実か



「――手、掴んでなくていいのか?」


入ってすぐ俺がそう言うと俺の手を掴んで背後に隠れた。

「…じゃあ、行くぞ」

『………』

お化け屋敷に行くと言って歩き出してから、幸村は一切喋らなくなった。
そんなに苦手なんだろうか。





(ここのお化け屋敷は距離が長いんだったよな……)


そんなことを考えていると横から女が出てきた。


『いや!!おかっ、おかざきさんん!はやく!早く行って!』

俺の背中を押して逃げようとする幸村がおかしくておかしくて…


俺はお化け屋敷でもホラー映画でも怖がらせる方法に感心してしまうから、怖がりはしない。

おぉ、すごいメイクしてるな。タイミング抜群だし。


『もう!来ちゃう!来ちゃいますから!!』


追ってきていないのに急がせる幸村。意外と女子なんだよな、こういうところ。



「そんなに押すな。急いでもいいことないぞ……ほら」


近くから何かの音が聞こえてきた。だんだん大きくなってくる。


『やだやだやだやだ!!怖い怖い怖い!!』

うん、俺は少し痛いかな?力加減ができてないぞ、幸村。


彼女とつないだ手は痕がつくんじゃないだろうかというほど強く握り締められている。
まぁ、幸村がつけた痕なら別にいいのだが。






そんな感じで俺の笑い声と幸村の悲鳴が響いていた。




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