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誰かお願いつかまえて

第5章 夢か現実か



(ようやく半分くらいまで来た頃か)

そう思いながら歩く俺の背中には幸村がくっついている。
つないでいない方の手で俺の服を掴んでいる彼女の呼吸を感じる。


『おかざきさん……もうすぐ終わりですかね』


声が疲れきっている。結局叫んでたしな…


「……そうかもな」

まさかまだ半分ほどだとは言ってやれず嘘をついた。


『そう、ですか…手、離さないでくださいね』


依然力を入れられたままの俺の手はもうしばらく開放されないだろう。




バタン!!

音とともにまた人が現れる。うーん、いい演出。


『もう無理!!むりむりむりむりむりむりむりむり!!!!』


そう言って俺の手を引いて走り出してしまった。
…そういえば俺、もう少しとか言ったっけ。


(さっきまで怖がってたのに……)

俺の手を引いて走る彼女は振り向きもしない。

(……怖がってしがみついてきたところまでは想定内だったがな)

いつでも俺の想定を上回る行動をする彼女が愛おしい。


『ぅ!こわいこわいこわい!!!』


走った先でまた怖がらされて立ち止まった彼女の手を引く。


「ほら、行くんだろ?」

こくこくと頷く幸村を連れて出口へ向かった。











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