誰かお願いつかまえて
第6章 ペットでもいいから
幸村のマンションのエントランスに入り5階まで上がる。
(…電気、ついてないな)
部屋の前まで来ると明かりがついていないことが分かった。
(寝てる、ってことはないよな…?)
違う部屋にいるのかもしれないと思ってインターホンを押す。
ピンポ-ン
なんの物音もしない。ノックをしてみた。
「幸村?いないのか?…俺だ、川端だけど」
返答はない。
(ひどく泣いたらしいし、出かけてはないと思うんだけどな…)
俺は扉に背を向けてしゃがむ。
やっぱり遅すぎたのか?
俺じゃだめなのか?
それとも…アイツの心にはもう岡崎さんが入ってしまったのか……
岡崎さんはすごい人だ。仕事もできるし気遣いもできる。俺も1度だけ成績を追い越したことがあるけどそれっきりだし、成績だけじゃなくてもあの人には敵わない。
それにあの容姿。男の俺から見たってかっこいい。
大人の男って感じで、何をしても余裕がある。
しょっちゅう幸村と言い合いになる俺は本当にガキだな……
アイツは頭撫でられて嬉しそうにするし……