誰かお願いつかまえて
第7章 家庭崩壊……?
……私が、イタリア……?!
「もちろんずっとというわけではありません。
次のプロジェクトが軌道に乗るまで…2、3年くらいの間です!」
「うーん…幸村、ねぇ…」
仕事をしていた周りの社員たちもざわつきだす。
私、行くなんて一言も……
「波香!…来るよね?」
『待って!私、行かないよ!?』
静まりかえるフロア。
部長と由香梨が近寄ってくる。
ギュッと私の服の裾を握りしめた南ちゃんを後ろに隠すようにして立ち上がった。
「そう、だよね……
急すぎるか…
別に、今すぐじゃなくてもいいんだ!
ちゃんと引継ぎしてからでもいいから!」
『そういうことじゃなくて…』
「せっかくだし、行ってみたらどうだい?
あ、でも語学がなぁ…」
「幸村さんは英語かなりできますよ?名の知れた進学校の出身だし、大学もいいとこ出てるし…
向こうにも日本人いるし、イタリア語もそれからで……」
私を置いて進んでいく話。もう私の耳には入ってこない。
せっかく仕事で認められたのに…
まだ、ここでやりたいこともあるのに…
部長が乗り気だと断れないかもしれない。
「ちょっと、待ってください」