誰かお願いつかまえて
第7章 家庭崩壊……?
『由香梨っ!待って!!』
エレベーターのところで由香梨が振り返る。
『なんで…私だったの?』
会社の中で唯一頼れる友人だと思っていた。
仕事のことも理解してくれていると思っていたのに…
(私がこの仕事好きなの知ってるのに……)
なんで、海外に行かせようとしたの…?
「…もう、そんな怖い顔しないでって!
イタリア行きの話はさ、
ウソだから」
………もしかしてこの人今笑顔でとんでもない事言った!?
『…え!?嘘なの!?』
「嘘よ、嘘!だいたいなんであんたのこと連れてかなきゃいけないわけ?
日本の駅ですらすぐ迷子になるし、芸術的センスの欠片もないあんたをイタリアに連れてったって
何にも面白くないわ」
うぐ……
方向音痴はまだしも、芸術的センスは関係ないじゃん!!絵が下手なだけだし!!
『……でも、だったらなんであんな事言ったの?』
川端と岡崎さんが止めてくれなかったら今頃引き継ぎの準備してたかもしれないっていうのに……
「あんたと川端と岡崎さんを冷静にさせるため、だよ」
私たちを冷静に………?