誰かお願いつかまえて
第1章 私ってやつは
言われた通り大人しくして、というか大地に見とれていたらいつの間にか私のマンションの前。タクシーに乗ってる間は終始無言だった。
(…当たり前なのかもしれないけど、慣れてたなぁ大地)
前にも誰かのことを送ったことがあるのだろうか?
「ほら、降りるぞ」
ぼーっと考えていると精算を済ませた大地が私の腕を引いて降りる。
『あ、私お金…』
カバンから財布を出そうとするとため息をついて手を掴まれた。
「そういうところ。酔ってる女に金払えって言うわけないだろ。」
『でも』
「でもじゃない。少しは甘えろよ。――部屋まで送る」
(部屋までって……………)
期待してしまうよ…