誰かお願いつかまえて
第1章 私ってやつは
私の会社はまぁ大手で、部署も営業部だし恵まれてると思う。
特に他の部署の女の子に羨ましがられるのは、社内でも人気の岡崎さんと川端と同じチームということ。
確かに2人とも整った顔をしている…かもしれないけど私にはよく分からない。
昔からそうなのだが、私はイケメンの判断基準がおかしいらしい。
さぞ、甘い時間を過ごしているのだろうとよく言われるが、そんなこともなく。
笑顔と言えば聞こえはいいが、実際のほほんとしてるだけの上司や、ドSで口が悪くてうるさい同僚と組まされて、嬉しいはずがない。
そんなことを言うと贅沢だとか、ひどいだとか、果てはあの2人にときめかないなんて女の子じゃない!とまで言われる始末。
私は確かに世間の望む女の子ではない。
今だって急いでいるから5階から入口まで階段を降りるなんて普通はやらない。
分かっているけど仕方ないじゃないか。急ぎだし。