誰かお願いつかまえて
第2章 仕事人間
――
予定よりも少し早く会社に戻ることが出来て、営業部のフロアがある5階に向かう階段の途中で。
(あれは………)
前方からダンボールが足をはやして降りてくる。
下りなのに前が見えないほどの大荷物を持つ細い腕とふらつく脚。
私が誰だか分かったところで彼女はバランスを崩した。
「きゃっ!!」
反射的に数段の階段を上がって降ってきそうなダンボールを支えた。
『大丈夫?』
「す、すみません!!…あっ幸村さん…」
恥ずかしいのかリンゴみたいに真っ赤になってる可愛い後輩ちゃん。
『いま戻ってきたところ。これ、どこ持ってくやつ?』
「おかえりなさい。…企画部のところです。
あぁ!大丈夫です!1人で行くので!!」
私がひょいっと2つのダンボールを取り上げると慌て手を伸ばしてくる。
『4階ね。いいよ、一緒に行こう!』
私が階段を降り始めると彼女は申し訳なさそうに着いてきた。