誰かお願いつかまえて
第4章 俺はお父さんなんかじゃない
スースー…
「こいつ…
言いたいことだけ言って寝やがった」
「川端、口悪くなってるぞ?
俺たちももう少し飲んだら帰るか」
「そうですね…
―幸村の話ですけど」
川端の鋭い気配に俺は姿勢を正した。
「そいつ、幸村がここまで傷つくの分かってたんですかね…?」
握った彼の拳から憎しみが窺える。
「…ここまでかどうかは分からないが、傷つけて自分から離そうとしてるように思えるな」
「っ!
なんでそんなやつと………!」
「そこまでにしておけ。
…どんなやつでも幸村が好きだったやつだ。
それも長い間、本気で。
…腹立つけどな」
幸村の頭を撫でていると、ふにゃっと笑ってこちらを向く。
「はぁ………………
こいつ、無防備すぎて心配ですよ。
強がってることが分かればあまりにも隙がありすぎて……」
今度はそう言いながら彼女のサラサラの髪に指を通す彼の方を向いてしまった。
(悔しい…
が、確かにな…)
だが幸村の強がりを見抜くのは難しい。
人を一切頼らないわけじゃないが、自分の力でどうにかしようとする。
――それによって人と深く関わるのを避けているような気がした。