誰かお願いつかまえて
第4章 俺はお父さんなんかじゃない
俺は声を押し殺して泣いている幸村の隣に腰掛けた。
そっと頭を撫でながらため息をついた。抵抗は、されていない。
「幸村、お前は1人じゃないぞ?
俺だって川端だって南だってお前の味方はいっぱいいるんだ…
頼ることは迷惑をかけることじゃない」
なぜ彼女はこれほどまでに強がろうとするんだろうか。
自分は何でもできると慢心してるわけではないようだし、仕事では頼ってくることもある。
でも自分の仕事だと思えば1人でやってのけてしまうし、プライベートの相談なんて誰にもしているところを見たことがない。
『…うっく……ひっく………』
少し声が大きくなった気がした。
「声、抑えるな…
不満も全部出さないと前に進めないからな」
すると顔は上げずに話し始めた。
『……大地っ…の、…っこんっ……の日がっ、………わたっ、しのっ…………んじょ、び………な、のっ………
……なんっ、で………わたしっ、……もっ、…あきらめたっ……のにっ……』
「つらいな………
いやだよな…
お前はなんにも悪くないからな?
大丈夫だぞ?隣にいるから……」
頭を撫でているとやがて彼女は寝息をたてはじめた。