誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
『……』
(本人に言えるわけないし!!!!)
まさか、あなたに玄関で抱きしめられる夢です、なんて言えるわけない。
呆れられるどころか気持ち悪がられるに決まってる!
『えっと、ですね………』
焦る私を同じ笑顔で見ている。
(恥ずかしい………!
見られたくない………)
私が俯くと、まぁいいや、と言われた。
いつもの岡崎さんだった。
「とりあえず俺は帰るけど…
幸村、明日用事あるか?」
『へ?
明日ですか?……特にないですけど』
「じゃ、明日連れていきたいとこあるから俺と出かけよう」
…はい?
『いやっ、でも、明日はせっかくの日曜日なのに、私なんかと――』
「決まり、な?」
遮られて笑顔でそう言われたら頷くしかなかった。