
先生…お願い。早く治して・・・
第85章 才色兼備な【元・彼女】と、自信の無い【今・彼女】
石川は抱き上げた綾を診察台に下ろそうとするが、それを拒む様に石川の腕にしがみ付いた
石川「綾?」
綾『やだ…、、やだぁ〜やだぁ〜やだぁ〜〜!!』
石川「大丈夫…分かってる!分かってるから…。。嫌がる事しないからっ!!なっ?」
強い力で俺の腕に必死にしがみつく綾の顔を覗き込み、優しく声を掛けた
石川「綾…、、大丈夫だから…な?」
綾『……っんっ…』
綾はほんの少し、その腕の力を抜いた
石川はゆっくりと診察台に綾を下ろした
石川「良い子だ!」
石川はニコッと笑って見せた
お腹には昨日取りきれなかった物質が増殖し数値が上がっているのは、この痛がり方を見れば診察するまでも無く容易に想像出来る
この増え方…、今までとは違う
司馬が言う様に、やはり原因は胸にあるのか…。。
石川「綾…わるいっ、ちょっと胸触るよ」
震える綾の左胸にそっと手を当て、その膨らみを優しく押す
綾『…ッッ?ぃやっ!!!』
短い悲鳴と共に、俺の手から逃げるように身体がビクンっと跳ねる
石川「ごめん、痛いね。こっちはどうかな?」
綾『やだぁ!もうやらない!!』
石川の手を跳ね除ける
石川「ごめんごめん。」
そう言いながら、今度は跳ね除けられぬ様、綾の腕を掴む
位置をずらし、司馬が言うリンパ部分を優しく指の腹で押す
綾『んっいやぁっ!!!!』
やはり原因はココに違いない。昨日まではリンパの炎症だけだったが、今は胸にも溜まっている様だ
ここを確実に落ち着かせない限り、腹部の数値は何度も増え続ける
高から聞いた昨日の治療の内容と様子…
ただでさえ医者嫌いな綾が、あの司馬先生に相当責められ治療されたのであれば、今の綾の恐怖心は計り知れない
