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先生…お願い。早く治して・・・

第85章 才色兼備な【元・彼女】と、自信の無い【今・彼女】




梨沙はパチパチっと手袋を装着しながら、石川と綾の元へと戻って来た



梨沙「良いわよ!」



麻酔を掛ける為、点滴に手を掛ける





石川「梨沙悪いっ!吸気してからにしてくれるか?」





梨沙「え?あっ…、うん。」




石川「ダメなんだ針が、だから頼む。」




梨沙「分かったわ。」



梨沙はすぐ、吸気マスクの準備を整え
綾のそばに立つ





梨沙「マスク付けますね。」


綾に優しく声を掛ける





だが、綾は痛みで横を向き泣いたまま、動こうとしない





石川「貸して?俺がやる。」


梨沙に手を伸ばし、マスクを受け取った





石川「綾!マスク付けるぞ」


顔を覆う手を退けようとするが、拒絶された





綾『やだぁ〜』





石川「綾?言ったろ?先生痛い事しないって。」




綾『何するの?怖いぃ〜んんっ…っ』




石川「 痛くない様に麻酔するだけ、だから怖くないよ」





綾『麻酔やだ〜痛いもんっ…もうやだぁ〜うぅ〜っ…』




石川「違う違う、いつもの麻酔はしないからっ、な?」




石川はベットの横にしゃがむと、横向きで寝る綾の視線に目を合わせる


そして涙を拭う為、顔を覆うその手を掴んだ



綾『ヤダ!離して!!』



マスクを拒む綾に無理矢理付ける様な事はしたくない



石川「大丈夫、そんなに泣かないの!そんなに泣いたら息苦しくなるだろ!」




綾『だってぇ〜…んっ…ん…、せんせ…やだよ…』




石川「分かってる。。いつもみたいな怖い事はしないから、な?」


綾『ほんと…っ?…ック…』


石川「約束する」



石川は綾の腕を優しく掴んだまま、顔をくしゃくしゃにして泣く綾にニコッと微笑み、マスクを口元の近くに近づけた




石川は目線を一瞬梨沙に向ける



梨沙は麻酔を流す



石川「綾、もう泣かなくて良いから、大丈夫だから、ゆっくり呼吸して!」




綾『ん…んっ…』




石川「大丈夫、大丈夫。。何も怖い事しない。大丈夫だよ。」



マスクから流れる麻酔は、呼吸する度少しずつ体内に入っていく




石川「よしよし、大丈夫。。」




先生の優しい顔と声



麻酔により綾の涙と呼吸は静かに収まり、泣き疲れたかの様にゆっくりと眠りについた


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