
先生…お願い。早く治して・・・
第86章 元カノと石川先生の治療
寝返りを打つように、少し綾の頭が動いた
石川「綾〜?分かるか?」
優しく声を掛ける
んっ……っ…
石川「綾?分かるか?」
再度問いかける
綾はまだ眠たそうに重い瞼を持ち上げる
綾『んっ…っ…、せんせ?』
石川「そうだよ。」
そこに映ったのは、優しく微笑む先生の笑顔だった
梨沙「大丈夫?」
とても優しい、女性の声がする
声のする方にゆっくり顔を向けると、モニター越しに見ていた、彼女がいた
梨沙「大丈夫?気持ち悪くない?」
綾『…んぅ。』
コクンと頷いた
梨沙「良かった!」
梨沙はニコッと笑みを綾に向けた後、視線を石川に向ける
梨沙「大丈夫そうね。」
石川「あぁ、ありがと、後は大丈夫だ。」
梨沙「じゃぁ、私は帰るわね!」
梨沙は綾にもう一度微笑み
「お大事にね」と一言掛け、治療室を去った
石川「綾、大丈夫か?まだボーっとするか?」
少し心配そうに綾の顔を見つめた
綾『…ねぇ、…さっきの綺麗な人…先生の彼女?』
石川「何言ってんだよっ!俺の彼女はお前だろ?!」
綾『本当に?』
まだ重い瞼を頑張って持ち上げながら、不安気な表情で石川を見つめる
石川「あぁ!本当だよ!!でも、そんな質問出来るんだから、大丈夫そうだな!!」
先生はフッと笑った
石川「でもまぁ確かに、さっきいた彼女とは研修医時代に付き合ってた。お前にうそは付きたくないからな!でもまぁ〜それも昔の話しだよ!!今の俺にはお前がいる。」
石川は綾の頬に手を当て、優しく微笑んだ
