先生…お願い。早く治して・・・
第18章 初めての治療(前編)
『 宮田、やだぁ〜怖いよ〜』
涙をいっぱいに浮かべ必死に訴えかけた。
“ 大丈夫ですよ、お嬢様。すぐ終わりますから。少し頑張りましょう”
『…う…うっ…。』
宮田は泣きじゃくる綾の手をギュッと握り締める
「 よし、じゃあ軽く消毒するからね」
石川は、胸の膨らみと乳首をアルコールの含んだ脱脂綿でサッと拭き取った。
アルコールのスースーとした感じが、注射嫌いの綾にとっては針が刺されるカウントダウンのようで、心臓がバクバクと動き出した。
『 ヤダ〜やだよ〜』
「 表面に麻酔塗ってるから、そんなに痛くないよ。先生もなるべく痛くないように頑張るから、綾ちゃんも少し頑張って。」
『 無理だよ〜。』グスン…
「 少しの間動かないでね。じゃぁちょっとチクっとするよ〜ごめんね。」
石川は胸の膨らみにゆっくりと針を刺した。
『んっ…』
恐怖心で冷や汗が流れた
でも確かに思っていたより痛くない。
「もう入ったからね。もうちょっと我慢してね」
怖くて宮田の手を強く握った。
「良い子だ。一つ目はもう終わったよ。あと2つ打てば、あとは痛くないからね。」
もう2つ??
聞いてないよぉ〜。でも、さっきと同じなら我慢出来るかも。きっと大丈夫。
自分を励ますかの様に、心に何度も何度も言い聞かせた。