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先生…お願い。早く治して・・・

第91章 久しぶりのICU治療室


伸「大丈夫、強くしないよ…。大丈夫大丈夫…」




綾『ンッ…ック…ンン…ッ…』




伸先生は綾の胸を包み込む様に、左胸にそっと触れる


指先から何かを感じ取る様に、伸先生はその指先に集中する…


何か良く無かったらどうしよう…と、先生が指先に集中する無言の時間が怖い…



伸「大丈夫、怖くないよ…力抜いて?」

先生は時折私にニコッと微笑み声を掛けてくれる



知らず知らずの内に力が入っていたのか、先生は私の細かい所にまで気付き、気を回してくれる



伸「じゃぁ〜今度は昨日みたいに、腕上げてくれる?」



綾は首を横に振った



伸「大丈夫、約束する。絶対強く押したりしない…。」

真っ直ぐ見つめられ、私はゆっくり腕を上げた


先生はニコッと微笑む



伸「少しでも痛かったら言って?」

そう言うと先生は脇の下を撫でる様に触っていく




怖い…


ついつい力が入る


伸「腕の方も触るよ?」


さっき司馬先生に触られて、凄く痛かった所だ…


怖過ぎて、腕がドンドン下がってくる


そんな私に伸先生は笑って話しかける



伸「そんなに怖い?大丈夫だよっ!少しでも痛かったら言って?それ以上は触らないからっ。ね?」


綾『…うん。』



伸先生は私が怖がらない様に、優しく撫でる様にその場を触診していく


撫でられるたび、ほんの少し奥が痛む…


伸「ちょっと痛いかな?」


綾『ちょっと…。』



伸「うん。分かった。ありがと。もういいよ!」



綾『終わり?』


伸「終わり、腕下ろして良いよ。」


先生はニコッと微笑んだ




綾『先生…。』


聞きたいけど、怖くて聞けない。



先生はそんな私の気持ちを察してくれていた







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