
先生…お願い。早く治して・・・
第92章 すれ違う2人…。そして始まる伸先生の治療①
結局、2人の心はすれ違ったまま治療は始まってしまった
兄貴、笑気マスク付けてくれるか?
石川「あぁ。」
ベットヘッドの壁際にあるマスクを外す
石川「綾、ちょっとマスク付けるぞ?」
石川は綾の口元にマスクを近づける
綾『何するの?ヤダ…』
俺を見る目と声はどこか反抗的で、
まるで反抗期が来たかの様だ…
石川「治療の時に出来るだけ不安を感じない様にする為の麻酔だよ。」
綾『……。』
納得はしてくれた様だが、綾は目を逸らし俺の目を見ようとはしない
石川「……じゃぁ、付けるよ?…鼻からゆっくり吸ってごらん?そう…。出来るだけゆっくり深く深呼吸して…」
目は合わせようとはしないが、とりあえず、俺の言う事は聞いてはくれるようだ
伸「司馬先生、セデーションお願いしていいですか?」
司馬「あぁ。」
司馬は鎮静剤を静脈に投与した
伸「綾ちゃん今ね、、司馬先生、少し弱い麻酔を入れてくれたから、これから少しボーっとして身体が怠くなってくるからね〜」
綾『それしたら治療、、痛くない?』
不安いっぱいの顔で、伸を見つめる
伸「ん〜、、ある程度は効くけど、完全麻酔ではないからね。。ごめん…、場所によっては痛みはあるかな…」
綾『………。。』
伸「出来るだけ痛みが減る様に、塗麻酔も使っていくからね。」
伸は注射する予定の場所にクリームタイプの塗麻酔を多めに塗った
伸「綾ちゃん、麻酔効くまで、そのままリラックスしてて!出来るだけゆっくり深呼吸してようね…」
いつもの治療ではこんなマスクなんて付けないし、ボーっとする様なお薬だって使わない…
伸先生がやる治療って、
そこまでしないと痛くて耐えれないって事?
それとも、出来るだけ痛くない様にしてくれる伸先生の優しさなのかな?
でも、周りには司馬先生や高梨先生もいるし、これからまるで大掛かりな治療が行われる。そんな感じがして恐怖心ばかりが大きくなる
伸先生が言っていた通り、徐々に頭がぼーっとして眠気が襲ってくる。なんだか力も入らない…
