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先生…お願い。早く治して・・・

第92章 すれ違う2人…。そして始まる伸先生の治療①




伸「あやちゃん、次は脇の下の炎症部分に2本打つからね…。ここからはごめんな…ちょっと痛いの続くよ…頑張ろうな」




綾『やだぁ〜ッ…ヒッ…ック…んっ…ん"っ…ウッ…ック…』


マスク越しに聞こえてくる声や泣き声は、
麻酔のせいでいつもよりも弱々しい…


これまで何度も何度も治療して来た石川には、その弱々しい泣き声から、綾の恐怖心や本来なら暴れる程抵抗したいであろう心の内が、手に取る様に伝わってくるのだ




石川「よしよしっ、怖いよな…。。先生だけじゃない、高も司馬先生もみんな付いてるからな?大丈夫大丈夫だ…」


何度も何度も優しく頭を撫でる





伸「よし、じゃぁ〜始めるよ!綾ちゃん…、ちょっと頑張ろうな〜ごめんな〜」



綾「んっ…ん"っ…ンエッ…っ…』



今は泣く事しか抵抗出来ない



石川はギュッと強く綾の手を握った




伸は脇の下の一番炎症の強い部分にサッとアルコール消毒を施し焦点を定めると、長い針の注射器をゆっくり奥へと打ち込んでいく



麻酔をしていても、強い痛みにより反射的にビクンッと跳ね上がる


伸「ごめんなっ…」




綾「イヤーーーーーっ!!いたいいたいいたい!!ん"んッ…ヤダッ!いたいよ〜…いたいぃーッ…」




伸「ごめん…ここ痛いね…ごめんな〜」



頭はボーっとし、今にも目を瞑りたい程、瞼は重く
言葉を発するのでさえ一苦労するんだよ…


身体だって、暴れたいほど動きたいのに全く自分の頭の指令が身体に届かない…


それなのに…


それなのに…


なんでこんなに痛いの?


綾『…んッ…んッ…いたい〜いたい〜ッ…むり…ヤダーーー!!やめて…おねがい…やだぁ〜いたい〜』


我慢出来ない痛みだけが、
突き刺さる様にクリアに感じられる…


伸「ごめん…痛いね…よしよし、よく頑張った!もう針奥まで入ったからね。あとお薬入れたら終わりだよ〜」


少しも痛みが軽減されているとは思えない


これは私が暴れない為の麻酔だったの?



綾『うぇ……んっック…せん…せぇ〜やだッ!いやっ……たすけて…っ…ック…痛いよ…痛い…ック…』




絞り出す様な声しか出せず、
誰にも…
誰にも…私の声が届かない…





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