
先生…お願い。早く治して・・・
第93章 溺愛な石川先生と伸先生の治療②
胸を冷やし始めて30分、痛みが軽減される兆しもなく、むしろ麻酔も切れて、痛みが増している様にさえ感じる
綾『んっ…ック…い、いたっック…ぃッ…ンエッ…ック…も、やだ〜っ…いたいっ…ンエッ…っく…んっ…いたいよ…っ…』
石川は抱き抱える様に、背後から右手を回し、保冷剤を胸に当て、もう一方の左手は痛みのある腕を優しく摩ったり、時に頭を撫でたりと、痛み止めが使えない以上、今はそれ位の事しか出来る事が無かった。
石川「あや…?冷やしても痛み少しも引かない?」
背後から顔を覗き込む
綾は肩を震わせ泣きながら
綾『いたいッ…』
と俺に助けを求める様な目で訴える
痛みに波もある様で、時折石川の胸の中で激しい痛みに身体を捩り、声にならない悲痛な声で泣きじゃくる
綾『んッッッ……っ、、いたいぃ〜も〜やっ…、、うえっ…ック…ック…いたいよ…』
石川「よしよし…ごめんな…痛いな…。」
あまりの悲痛な泣き声に、石川は呼び出しボタンを押し、休憩室にいる伸に繋いだ
石川「シン!いるか?いたらちょっと来て!」
伸「今、行く…」
ベットのマイクから伸の声が返ってきた
直ぐに休憩室のドアが空き、伸がやってきた
伸「どお?」
石川は首を横に振る
伸「ん〜ぅ。。。。。」
石川「伸…」
一言、目を見て、弟の名を呼ぶ
兄貴からの一言は何が言いたいかは一目瞭然だった
もう無理だ…
これ以上は我慢させられない…
頼む…
居た堪れない…そんな目をしていた
それに応える様に、伸は目を見つめ返し小さく頷いた
伸「綾ちゃん、もう一回先生に胸見せてな?」
綾『ンエッ…ゲホっゲホっ…ぃ、やだっ…も、もう何もしない〜っック…ック…ック…ゲホっッ…んえっ…んん…せんせやだぁ〜』
伸「綾ちゃん、大丈夫、見るだけだよ〜ちょっとごめんね」
石川「綾、大丈夫。もう伸先生痛い事しないよ。」
綾『んえっ…んえっ…』
伸は病院着の前を広げ胸を見る
注射直後よりかなり腫れてきているのが分かる
伸は兄貴の目を見て、小さく頷く
伸「綾ちゃん、頑張ったな…。今痛いの取ってあげるからね。」
そう言うと病院着を閉じた
急ぎ伸は薬を取りに戻った
