
先生…お願い。早く治して・・・
第96章 治療を乗り越えた後には…
胸自体の炎症は治っている為、大きな変化はない
石川「綾、少しだけ腕動かすよ…」
そう言うと、身体から少し腕を引き離すように腕を動かした
綾『んッ…っ…』
恐怖感から無意識に身体に力が入るのが分かる
そんな私を見て、先生はニコッと微笑む
石川「大丈夫だよ…。ちょっと触るだけっ」
そう言われても不安は顔に出てしまう
石川「怖いよな…ごめんな…」
先生は怖がらない様に、私の様子を気に掛けながら声を掛けてくれた
石川は脇の下の部分にそっと手を当て、指先にほんの少し圧をかける
綾は反射的にビクッと身体を震わせた
石川「今のも痛い?」
綾『………。。』
石川「ん?」
綾『……。。。。』
優しく問いただしたつもりだが、綾の目には涙が溜まっていた
石川「綾、痛いって言ったらまた注射でもされると思ってるか?先生そんな事はしないから、正直に言ってごらん!」
ん?と頭にポンポンっと手を乗せ優しい表情で尋ねる
綾『……ぃ、いたい…。』
昨夜散々に泣き明かした赤い目には、溢れんばかりの涙が溜まる
石川「んう。大丈夫…痛くて当然だ!」
そう言って綾の頭をポンポンっと撫で、優しい目で見つめる
綾『…本当???でも…、、夜になってもまだ痛かったら、そしたら、、また……、注射される??』
今にもまた泣き出しそうな表情で、俺に尋ねる
綾にとっては、
痛みがある=注射
それもトラウマになりそうな程の、痛みの強い注射だから、気になって当然だ
石川「大丈夫、注射はしないよ!!伸が打った薬が中で炎症反応起こしている内はしばらく痛いと思うけど、徐々に痛みは引いてくるから、心配しなくて良い。」
先生はニコッと微笑み安心させてくれる
石川「今日は土曜日だから、朝夜の回診も先生が来るし、ちょくちょく様子見に来るから安心しなさい!ね?」
綾は『うん』と小さく頷いた
