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先生…お願い。早く治して・・・

第97章 嘘つき…



石川と後藤が電話で話している頃…


ICU隣の先生達の休憩室には、回診を終えた伸先生が戻って来た 



治療後の綾ちゃんの身体の状態は気になる、あれだけ我慢させたんだ…


ミラー越しに綾の様子を確認する





ん?


泣いてる??




誰もいないICUの部屋で1人、ベットの上で肩を震わせ泣いている様に感じた。



でも、俺が行ったら…



そう思ったが、今休憩室にいるのは俺1人…




何か異変があるのなら、確認せずにはいられなかった





小さくビーッと扉が開く音がする

誰かが入ってきた音だ



先程の看護師さんか…



いや、私の異変に気付いた看護師の後藤さんが、きっと先生に連絡したに違いない…




今は誰にも会いたくないよ…



お願いだから来ないで…帰って…1人にして…




そんな小さな願いすら神様は聞いてはくれない。




足音は近づき、自分のすぐ横で止まった




伸「綾ちゃん、どうした?大丈夫??」




え?石川先生とばかり思っていたのに、
この声は…


伸、、先生…?想定外だった




綾『……。。』


返す言葉が見つからない


布団で顔を隠したまま、無言で寝たふりをした



伸「綾ちゃん?何処か痛い?」



綾は布団の中でぶるぶるっと首を振った




伸「本当に?昨日注射した所、痛いか?」





綾『大丈夫っ…、痛くないっ…ック…』



少し口調を強め言い切る綾の声は少し震えていて、泣いているのは明らかだった



伸「でも、何処か体調が良くないのは確かでしょ?泣いてるし…もしかして、熱…つらい?」

そっと布団から出ていた頭に手を乗せた




綾『触らないで!何処もなんでもないし、痛くないっ!!』


布団から顔出すと、泣き腫らしたであろう赤い目で伸に向かって叫んだ!





微かにICUから聞こえる話し声



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