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先生…お願い。早く治して・・・

第98章 別れ…それとも…


それから2時間ほどが過ぎた


時刻は間も無く22:00を迎える



流石に午前中に入れた痛み止めの効果もとっくに切れ、時間が経つにつれ痛みも強くなっていた



そして定期的に強い痛みの波がやってくる…



看護師の後藤さんから、夜勤の伊藤さんにバトンタッチされ、伊藤は綾の様子をこまめに気にかけていた




時折背中を丸まらせて、痛みに耐えている様子が伺える



しかし何度声を掛けても“大丈夫です”という言葉しか返ってこない。




トントントン



伊藤は休憩室のドアをノックした




どうぞ〜




と中から声が聞こえ、伊藤は扉を開けた




伊藤「失礼します。あの、院長は、いらっしゃいますか?」




相良「いるよ!」

そう言って院長のいる方を指差した




石川は、マジックミラー越しに綾の様子を見ていた。



伊藤は石川の側に近づいていく


伊藤「先生!!進堂さん…」



石川「んぅ。分かってる。」


次の言葉を言い切る前に石川に遮られた




白衣を着た石川先生は腕を組み、進堂さんの様子を見ながらどうしたもんか…と少し悩んんでいる様にも見えた


しかし、進堂さんのあの様子を見ても尚、ICUへ行こうとしない石川にたまらず声を掛ける



伊藤「先生、進堂さん、かなり痛そうにしてます!」




石川「さっき声掛けた時、なんて言ってた?」




伊藤「え?」



石川「さっき綾に声掛けてくれてたでしょ?伊藤さん。」




伊藤「あっ、はい…。あの、“大丈夫です” って一言…。でも、絶対大丈夫じゃないです!!!」




石川「そうだね…。。」


そういうと、石川は小さな溜息をはいた




伊藤「先生!どうして行かないんですか?」




石川「んぅ??そうだな…。。今はまだ俺が行っても治療拒否されるだけなんだよ。」




伊藤「そんな〜!あんなに痛がってるのに、可哀想です。先生!!見ていられません、私!!」



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