
先生…お願い。早く治して・・・
第98章 別れ…それとも…
時折、強い痛みの波がやってくる
先生が側にいるのに…
綾『……っ。。』
気付かれない様に必死に声を抑える
お願いだから、早く痛み、引いて……お願いっ…
何度も何度も痛みの波が去っては、またやって来る…
先生が来てからどれ位の時間が経っただろうか
波が来る間隔がドンドン狭くなってきた
綾は俺に気付かれない様にと思ってか、必死に声を抑えている。呼吸もドンドン荒くなり、痛みが増しているのは容易に見て取れる
もうそろそろ、限界も近いな…
出来ればあまり無理はさせたくはない。
痛いよ…
時間が経てば経つほど、痛みは強くなるだけで、良くなる気配なんて微塵もない…
治療してないんだから、良くなる事はないのは分かってはいる。。
もう、どうしたら良いのか分からない
でも先生は何も言ってこない
こんなに近くにいるのに、今はとても遠くに感じる
頼りたいのに、あんな風に散々反抗してしまった今、降伏する事は出来ない
痛いよ…
助けて。。。
どんなに隠しても、痛みで苦しんでいるのはとっくにバレている。そんな苦しんでいる姿を見兼ねてか、背を向けてお腹を庇う様に丸くなる私に声を掛けてきた
石川「綾…? もう我慢出来ないだろ?」
俺に背を向ける綾にそっと声を掛けた
綾『……痛く…ない。ほっといて!』
本心じゃないのに、つい咄嗟に強がってしまう。どうすれば素直になれるのか、自分でも分からない
看護師の伊藤も少し離れた所で仕事をしながら2人の様子を伺っていた。
石川は綾に見えない所で一つ、ため息を押し殺す様に息を吐いた
これ以上はもう放置は出来ない。
限界だな…
