
先生…お願い。早く治して・・・
第33章 触れるんじゃない…!
カーテンの中から聞こえる綾の泣き声と嫌がる声に、病室のみんなもどうする事も出来ず、顔を見合わせる事しか出来なかった…。
そんな時、
病室に一人の男性が現れた
突然現れた、かなり険しい顔をした背の高いイケメンの男性に澤さんもトモちゃんもおばあちゃんもみんな、目を奪われた。
髪の毛はサイドを少し流し固め、細めの真っ黒なパンツに真っ白のワイシャツを着、パンツとセットのベストをビシッと着こなすその男性は、ネクタイに手を掛けると、まるでスイッチが入ったかの様に、険しい表情に変わり、“ククッ”っとネクタイを締め直しながら、泣き声とともに微かに聞こえる助けて…と言うお嬢様の声がするカーテンの向こう側へと一直線に向かった。
そしてその男性は、カーテンの中に入るなり
「おい、お嬢様に触れるなっ!!!!」
その場にいた誰もが凍りつくほど怒りに満ちた低く冷徹な声
突然入って来たその男性に、その医者も
「なんだキミは?突然、今は診察中だぞ」と声を荒あげた
そこには看護婦に腕を押さえられ、痛々しく赤く腫れた胸をさらけ出され、号泣する綾の顔が見えた…。
お嬢様………
宮田「おい…その手を離せ!お嬢様に触れられるのは進美外科の先生方と新田先生だけだ。」
その声は冷徹なまでに冷たく、怒りに満ちた目は殺気すら感じる
看護婦はあまりの怖さに直ぐにその手を離した。
綾『…ゲホっ…ゲホッげほっ…っはぁはぁはぁッ…』
宮田「なぜあなたがお嬢様を診察している…?」
流石にその医者も、診察して何が悪い!と言わんばかりに、面白くなさそうに“チッ”っと舌打ちをし、出て行った
