
先生…お願い。早く治して・・・
第40章 先生…苦しいよ…
石川は綾の顔を覗き込み、優しく頬に手を当てる
「綾…先生が分かるか?」
綾はゆっくりと目を開けると、そこには心配そうに見つめる優しい先生が映った
綾は虚な目で小さくコクンと頷いた…
先生はニコっと微笑見返すと
「また先生に胸の音聞かせてな…」
石川は綾の服をめくり上げると小さな胸があらわれた
少しでも多くの酸素を取り込もうと上下する綾の小さな胸は、とても苦しそうだ…
いつもなら、少なからず抵抗したりするのだが、されるがままなのは、それほど辛いのだろう
石川は聴診器を耳に付けると小さな胸に当てた。
聴診器を当て、少しずつずらし胸の音を確認する石川の表情はどんどん険しくなる…
今はゼェゼェ〜という音より、粘着質の痰が喉の奥に溜まり、ゼェロゼェロと呼吸の邪魔している。
そのせいで、せっかくの酸素マスクもあまり意味を成していない…。
普通なら簡単に出せるのだろうが、今の綾には、自力で吐き出す力すらない…
