
先生…お願い。早く治して・・・
第46章 歪んだ愛……先生助けて(前編)
「金だよ…。母さん必死で働いて…でもそのせいで身体壊した。どうしても俺を医学部に入れたかった母さんは、初めて親父に連絡を取った。息子の為に入学金を貸して欲しいと…。でもあいつは、1円たりとも出さなかった。」
『それで…看護師に?』
「あぁ…。結局、医学部には入れなかった。そして母さんはその後、病気が悪化して亡くなった。でも母さんは入学金を出してくれなかった親父を恨んで、俺が間違い無く親父の息子だって認知させる為に、色んな関係機関に情報を流した…。親父は看護師になった俺の元へ突然現れて……。」
『……どうしたの?』
「……お前が俺の血の繋がった息子だと知られた以上、世間で騒がれるような事は絶対するな…目的はなんだ?金か?金ならいくらでもやるって…。」
『そんな……酷い…。』
「…だろっ。今頃金貰っても、…もう医者にはなれない。今は、あいつをどん底に陥れる事しか頭に無い。お前には悪いが、世界的な知名度のあるSINDOの社長の娘を誘拐して手を出しだとなれば、あいつは終わりだ…。」
『だからって…こんな事する?おかしいよ。カズ…』
「うるさい!今更医者になれるわけないし…。俺はお前の担当医になれればそれでいい。今日は俺が君を治療する先生だから、しっかり診せてもらわないとね」
森下は何か吹っ切れた様子で嬉しそうに笑っている
