
先生…お願い。早く治して・・・
第48章 本物の治療
石川は脱脂綿を注射口に当て、親指でぎゅっと押さえると、
石川 :「進堂先輩、手、離してあげて下さい」
進堂 :「あぁ、もういいのか?」
石川 :「えぇ、後は麻酔効いてきますから。」
進堂 :「……綾ゴメンな。」
娘の泣いている姿を見るのはいつぶりだろうか、まさかこんな形で見ることになるとは…正直かなり複雑な心境だ。
綾 :『んぅ。』
流石に3日も痛みを我慢した胸への注射はいつも以上にキツかった様だ…
石川は綾に目を向けると
石川 :「よく頑張ったね。もう痛いことしないから、安心していいよ」
毎回治療の度に、涙が出そうな程に怒ったりするくせに、嫌な治療が終わると、まるで王子様の様な優しい顔で良く頑張ったな!っと甘い声を掛けてくる。そして私は単純だが、毎回の様にその笑顔と言葉にやられる。
