
先生…お願い。早く治して・・・
第56章 私…先生に見放されたの?
私は高梨先生に連れられ、高梨先生の治療室へと向かった。
不安と恐怖で頭がいっぱいのまま、治療室の前まで行くと、待合室のソファーに人影があった
白衣を身にまとった石川先生だった…
…せんせぇ…
あんな状態で出て行ってしまった先生の顔を見る事が出来ず、綾はその場で下を向いたまま立ちすくんだ。
石川は立ち上がり、俯いた綾にゆっくりと近寄る…
俯いた私のすぐ目の前で先生の足が止まった。
怒られる……
そう思い、下を向いたまま目をぎゅっと閉じた…
「良く来たなっ。来ないかと思ったよ。さっさとやるぞ」
うつむく綾の頭をクシャクシャと撫でた
『…?…先生……怒らないの?』
綾は恐る恐る石川を見上げた…
「なんで怒る必要があるんだ?自分で治療受けようと思ってここに来たんだろ?だったら怒る必要なんて無い。勇気出して、ここに来た綾を先生怒ったりしないよ。」
石川先生は優しい笑顔でニコっと微笑む
『先生……ごめんなさい、私…先生に酷いこと…それに私、先生の事全然分かってなかった。』
「おい!高!!綾に何言ったんだよ!!綾も高に何吹き込まれたのか分からないけど、お前は何も気にすることは無いの。自分の事だけ心配してろっ!気が変わらないうちに、ほらっ、とっととやるぞ!」
