
先生…お願い。早く治して・・・
第66章 先生との初デートなのに…治療?(後編)
石川は綾の頭に手を乗せると
「綾、大丈夫。。注射1本だけ頑張ろ。あとは終わりだから」
『うえッ…んっ…っんんっ…』
声を押し殺して泣く綾を、ちょっと切なそうに見つめる
石川は押さえていた綾の腕を解放すると、めくっていた綾の服を元に戻した。
「ちょっと待ってて。」
そう言って先生は部屋を出た
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石川はリビングに戻るとソファにもたれ掛かり、親父や母と一緒にTVを見ていた伸に声をかけた
石川「伸、悪い。ちょっとだけ手伝って。」
伸「何?まさかここで治療するとか言わないよね?元気だったじゃん」
母も急に心配そうな表情で石川の返事を待つ
石川「注射1本打つだけだ。5分もあれば終わる。」
それを聞いて伸も母、父もホッとした様子だった
兄貴なら家で治療しかねないからな…
伸「んう。良いよ。」
石川「悪いな」
母は心配そうに2人の息子の後ろ姿を見送った
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先生は伸先生を連れて部屋へと戻って来た
状態は部屋に入る前に、伸には伝えた
綾はどうして良いか分からず、ベットの上で咽び泣いていた
石川「綾、大丈夫だよ。そんなに泣かなくてもすぐ終わるから、な?」
先生は持って来た、医療バックを開けると、注射器を取り出し、準備を始めた
石川「…よしッ」
準備を終えた
俺が打っても良いが、伸に綾の身体を押さえていてもらうのは、なんとなく嫌だ
石川「伸、打ってくれるか?」
伸「あぁ良いよ!でも打つ前に俺にも診させて?」
石川「もちろんだ。頼む。
綾、すぐ終わるからな」
綾『んっ…ん…ヤダっ…』
ここに来て思いがけない恐怖が襲う
石川「大丈夫。直ぐ終わるから一緒に頑張ろ?な?」
石川は綾の左腕を頭の上で抑え
身体も動かない様に押さえられる範囲で固定した
綾『やだぁ〜怖いっ…っ離して〜』
伸「綾ちゃん、ちょっと診せてね〜。ごめん…服、捲るよ」
伸はいつになく真剣な眼差しで綾に話しかけた
綾『やだぁ〜やめて!やらない〜こわい〜』
石川「綾、大丈夫、怖くないよ。伸はね、乳腺科の専門医でもあるから。安心して良いよ。」
