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先生…お願い。早く治して・・・

第73章 先生との約束はどうした?


しばらくすると

トントンと石川の診察室をノックする音が聞こえた


「どうぞ!」



[失礼します]


ドアを開け入ってきたのは、高梨だった



[おはようございます、院長。今、お戻りですか?]

少し、顔色を伺う様に尋ねた




石川は少し顔をしかめると、

「んなわけないだろう!!あんな報告受けて悠長にしてられるわけないだろ。夜中に戻って来たよ。」




[…で、ですよね…、すみません…。。]




「で?どんな感じなわけ?なんで検査しなかったんだよ!なぁ〜?」



椅子にもたれ掛かり、机を指先でカツカツと鳴らしながら表情を変えず冷静に淡々と話す石川が一番怖い…




ほらぁ〜相当イライラしてる…。。

こうなるから
嫌なんだよもう〜



綾の事となると特にだ。。。


高梨は、心の中でブツブツと呟いていた

いち早くこの場を立ち去りたい





[すいません…。]


とりあえず謝る。




「“すいません”じゃ何にも解決にならないんだよ。」



そんなやり取りをしている頃

綾は目を覚ました






“お嬢様、おはようございます。”

宮田はいつもと変わらず綾に声をかけた。




『おはよう』

綾は少し力無さそうな声で返した。



“お嬢様、体調はいかがですか?”




『ぅん…。。…大丈夫。』

明らかに、気分が落ちてる…痛みを隠しているのは明白だった。




“実は昨夜遅く、お嬢様を心配した石川先生が学会から急ぎ帰られました。”






『えっ……?!』



“起きたら必ず診察室に来るようにとのご伝言です。”




『……。』

その言葉に一気に身体がかたまった。




“お嬢様?”





『…やだ…。。』

うつむいたまま小さく発した





“お嬢様、これは石川先生だけでなく、高梨先生や私との約束でもあるのですよ!”



『……。。。』


石川先生が来たら…と言った手前、これ以上拒否も出来なかった




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