
先生…お願い。早く治して・・・
第73章 先生との約束はどうした?
石川「先生も高梨先生も、宮田だって、みんな綾ちゃんの事、心から心配してたんだよ。それなのに、高との約束も先生との約束も守れないか?
ねぇ〜?
そんなに嫌なら本当に辞めようか?検査も治療も…。」
綾『…ヒッ…っく…っんっ…っ…。』
石川「先生も高梨先生だって、治す気もない子に時間を割くほど暇じゃないんだよ。この間にも、治してほしいって患者さんはいっぱいいるんだから…」
綾『…うぅ〜っ……っ…えっ…く…だって…』
宮田は今にも涙で崩れそうな綾を後ろから支える
石川「ん?いくら泣いても…痛いの我慢しても…何も変わらないよ!」
綾『…だって…ッ…だって…っ…怖い…んだもん』
石川「…分かってる。怖いよな…。でもな、やらないと治らないんだよ。」
嗚咽する程泣きじゃくる綾には、先生の言葉に返事を返す程、余裕はなかった。
石川「記憶を無くす前の君も、嫌だって逃げては先生に沢山怒られて…、でもね、どんなに怖くて泣いても頑張って乗り越えて来た。だから、今の君にもきっと出来るよ!」
綾『…ううぅッ…んッ……っ…いやッ、、出来ない〜出来ないよぉ〜こわいぃ〜』
石川「怖いのも、嫌なのも、そんなの先生達も全部分かってる…。だから少しでもその検査や治療がキツくない様に、先生達も一緒に頑張ってるんだよ。」
綾『…そうなのかもしれないけど…。。。でも…。。』
綾はそれ以上言葉が出なかった、そして無言の空気の中、綾の泣きじゃくる声だけがしばらく続いた。
石川「はぁ〜〜、、本当にやらないのね?」
綾『…っ…やりたく…な、いっ…っんっ…。」
石川「はぁ〜〜。。…分かった。じゃあもう帰っていいよ。。」
石川先生の冷たい返しが静かな空間を凍り付かせる
冷たく重い空気感…
