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第9章 バイト初日

翌日、コンビニにバイトを終えたその足で、新しいバイト先へと向かう。

階段を上り、事務所のドアを叩こうとすると、ドアが開いた。

「うわっ!」

「ちゃんと来たね」

見るとちっこいイケメン所長だった。

「何で俺だって分かるんですか?」

「キミだって分かった訳じゃないけど、階段を上る音で誰かが来た事は分かるからね」

あ、なるほど。

中へ通されると、俺は三つある内の一つのデスクを与えられた。

「今日やって貰いたいのは、この書類をこのファイルに纏める事」

そう言って所長が書類の束をドサッと机の上に置いた。

「これ、今年受けた分。それを月毎と依頼内容別に分けて。中身は読まなくても、ここで色分けしてるから、それで分けてくれればいいよ」

所長が書類の隅をトントンと叩く。

書類の隅には何色かで色分けされていた。

「まぁ、興味があったら読んでも良いけど、時間がなくなっちゃうからね。それと、このビルから23時までには出る事。ここ、出るからさ」

「出る?ゴキブリか何かですか?」

「ん~?ああ、『幽霊』」

なっ!何ですとぉ───!?

「帰らせて頂きます…」

俺が立ち上がって踵を返すと、所長に首根っこを掴まれ引き戻された。

「大丈夫だよ。出るのは決まって0時過ぎだから。それにキミ、見えない人なんでしょ?心配要らないじゃん?」

「確かに見えた事はないですけど…」

「見えないけど、好かれやすいタイプではあるよね」

「へ?」

「ハナもそうなんだけどさ、見えないくせにやたら背後に連れてるヤツ居るんだよな」

「えっ!?えっ!?」

俺は自分の背後をキョロキョロと見た。

「大丈夫だよ。今は憑いてない」

「え?」

所長って見える人な訳?

「見えるよ。ここの事務所、そう言う案件をメインに扱ってるから」

「ええ────!!」

「五月蠅いヤツだなぁ。心配しなくても、キミにそう言う仕事をさせたりはしないよ」

そっか。

良かった。

「まぁ、キミの依頼を受けたのもそういう理由。今度、キミの友達連れて来て。視て上げるから」

「本当ですか?」

「ああ」

「早速、今日でも構わないですか?近くのコンビニで働いているんです」

「う~ん…。ハナ居ないし、ここ開ける訳にはいかないんだよね」

「あ、そう言えばハナさんは?」

「今日は用があって休み」

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