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第10章 所長のお祓い

俺がそんな事を考えていると、ジロリと所長に睨まれた。

「男に『可愛い』とか思われてもキモいだけだから!」

所長がそう言い放つと、鈴木が『えっ!?』って顔をする。

鈴木よ。

お前も思ってしまったんだな。

所長が美人さんだって。

「おい!俺は『美人』じゃねぇぞ?ああ?」

うわっ!

しまった。

所長に心の中を感づかれてしまった。

しかも、ガラ悪くなってるし。

今にも殴りかかって来そうな所長を沈めたのは、ハナさんの拳だった。

「いっ…てっ!何すんだよ、ハナ!!」

「ハルが狂暴化しそうだったから止めたんじゃん」

所長はハナさんに頭が上がらないのか。

ギャーギャー姉弟喧嘩を始めそうな二人に割って入ったのは鈴木だった。

「あの!やるならさっさとやって頂けませんか?」

そう言われて吾に返るお二人。

所長は咳払いを一つすると、徐に鈴木に近付き、そしていきなり鈴木の唇を奪った!!

呆気に取られる、鈴木と俺。

だって…。

所長、男じゃん?

鈴木も男じゃん?

それが、目の前でディープキスなんぞをしてるんだが…。

「鈴木、男とチューは嫌かもしんないけど、今、ハルがアンタの中から霊を吸い上げてるだけだから、我慢しな!」

腕を組んで所長の行為を見守りながら、ハナさんがそう言う。

って言うかさ、鈴木の顔。

蕩けそうになってんだけど。

所長ってテクニシャンなのか?

俺が心の中でそう思っていると、所長がチラリと俺の方を見て、目を細めた。

どうやら、笑ったようだ。

「ふ…っ」

所長と鈴木のキスはまだ続いている。

何か、舌とか絡めあって、クチュクチュとか言ってるし。

卑猥だ。

「三人分ともなると、やっぱ長いなぁ…」

ハナさんは所長と鈴木のキスを見ながらそう言った。

「吸い取った後の霊ってどうするんですか?」

「話を聞くみたいだから、一旦、あたしの身体に入れんのよ」

「それって、やっぱりキス?」

「そうだけど?」

「うわぁ…、姉弟で…」

「だったら、アンタが身体貸す?」

「いえ…遠慮しておきます…」

「別にチューくらい、姉弟でしても問題ないでしょ。セックスする訳じゃないんだから」

「まぁ、そうですけど…」

「そろそろ終わりそうだね」

ハナさんは鈴木の様子を見て、そう言った。

所長が唇を離すと、蕩け切った鈴木の顔。

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