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第11章 交霊

所長の言葉にしんみりする俺。

成仏して彼女達は何処に行くのだろうか。

「ところで所長?ちょっと質問なんですが…」

「何だね?言ってみなさい」

俺が所長にお伺いを立てると、彼はふんぞり返って胸を張った。

でも、ちっさいからあまり威厳は感じられない。

何て考えたら、所長にまた怒られるかな。

俺は少し構えながら、所長に尋ねる。

「普通、霊って背中とかに憑いているものなんじゃないんですか?」

しかし、所長は俺の心の声には反応せずに、普通に答えてくれた。

「ああ、それ?普通はそうだよね。唯、鈴木君の場合は中に入り込んでた。だから口から吸い出した」

「中に入り込めるもんなんですか?」

「込むよ。隙があればね」

そう言って所長はニヤリと笑った。

俺の背中に戦慄が走る。

そんなワケの分からん物に身体を侵食されるなんて、想像するだけで怖い。

「心配ないよ。キミの場合は、鈍感過ぎて気付かないから大丈夫なんじゃない?」

所長がそう言って腹を抱えて笑う。

酷い言われ様だ…。

俺は軽く凹んだ。

「でも、俺と一緒に居たら、ひょっとしたら見える様になるかもしれないよ?」

所長の綺麗な顔が俺の顔を覗き込む。

「そ…それは勘弁して下さいっ!」

冗談じゃない!

そんな恐ろしいモン、見たくないわっ!!

「馬鹿か?ハルが生まれた時からずっと一緒に居るあたしに見えないのに、アンタに見える様になるわけないじゃん!」

はっ!

そうか。

それもそうだな。

「ハナぁ…。折角、バイト君をからかって楽しんでるんだから、言わないでよぉ~」

所長…。

完全に俺で遊んでますよね。

でも、鈴木を救ってくれたワケだし、この人の力を目の当たりにして、俺はもっとこの人の事が知りたいって思う様になった。

「うう~ん…。男に興味持たれてもなぁ…」

所長が腕組みして唸る。

ってか、また勝手に人の心を…。

「ダダ洩れさせてるアンタが悪い」

ハナさんまで…。

「えっ?ハナさんはダダ洩れさせてないんですか?」

ハナさんの言い方に疑問を感じた俺は、素直にそれをぶつける。

「ハナの心は読めないねぇ…。小さい頃から」

それってどういう事なんだろう。

霊感が全くないと言う割には、こんな仕事をしているハナさんも謎な人だ。

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